FXにおける「認知的不協和」とは？

認知的不協和とは？

認知的不協和という心理学における人の心理状況を表す言葉です。この「認知的不協和という心理がトレードにもたらす影響」について、今回はお話しします。

まずは、一般的に言われている認知的不協和から解説します。

一般的な「認知的不協和」の例

まずは一般的な認知的不協和について、タバコを例にして解説します。

タバコを吸うという行動と、タバコは体に悪いという意識。この２つは矛盾しています。

矛盾を抱えた状態で感じる不快感・ストレス状態、これが認知的不協和です。

認知的不協和になると

人は認知的不協和の状態になると、その不快感を解消しようとします。心理的ステップとしては以下の通りです。

タバコは体に悪いと知っていながら、タバコを吸い続ける。

その矛盾によって抱えるストレス（認知的不協和）を解消する為、別のそれらしい理由を持ってきて正当化する行為。

つまり認知的不協和とは「物事を正当化する前の心理状況」といえます。

では、この認知的不協和によってもたらされる心理が、FXのトレードにおいてどのような影響を与えるのか？解説していきます。

FXにおける「認知的不協和」とは？

認知的不協和によってもたらされる「FXのNGなトレードパターン」をいくつか紹介します。

明確なエントリー＆エグジット（決済）まで待てない

先ほどのタバコの例では「体に悪いと認知しておきながらタバコを吸う」という矛盾状態が認知的不協和だと説明しました。

これをFXのエントリー＆エグジットに置き換えると、以下のようになります。

根拠ないポジションでは利益が獲れない（稼げない）と分かりつつも、やたらめったらポジションを持ってしまうケースです。

この認知的不協和から起こる心理は、「明確なサインがいつ出るか分からないし、レートは動いてるんだから、少しでも利幅は稼げるだろう」といったところでしょうか。

タバコの例のように、「やめればいい」という論理的な解決ができず、自身のポジションを正当化する心理が働いています。

結果、いつまでも安定して利益を積み上げることは出来ません。

損切りしないトレード

つづいて「損切りしないトレード」です。

最大リスクを資金の２％までと決めてトレードをし、２％を超えても損切りしない場合。

「そろそろ戻るから待とう。損失を減らそう。利益転換してから決済しよう」と、決済を先延ばしにすることを正当化します。

「やばいかも？損切りしたほうがいいかも？」と認識しつつ「そろそろ反転するから大丈夫…」と、希望的観測でポジションを持ち続ける。

結果、損失を膨らませてしまいます。

この場合、強制ロスカットを喰らってしまうリスクさえある為、非常に危険です。

認知的不協和による共通点

ここまでの例で、認知的不協和の状態の人にはいくつかの共通点があることが分かります。

認知的不協和による共通点

①解決法は認知している
②解決法を認知しているからこそ矛盾に対する不快感をもつ
③不快感を解消するために行動を正当化する
④結果として解決していない
⑤正当化はストレスを解消する為の慰めでしかない

共通点は以上の５つです。

すでに答えは持っている

共通点の①にある通り、正しい答えをすでに知っているのが、認知的不協和です。

知っているけど行動が伴わない…それがストレスとなり、正当化（言い訳）に繋がってしまい、結果として間違った方向へと進んでしまうわけです。

認知的不協和からくるトレードの改善

認知的不協和を持つ人がすでに答えを持っているとするならば、トレードを改善する方法は、”事実を受け止めて考えを改めること”です。

・エントリーはしっかり待つ
・決済もしっかり待つ
・損切りは決めた範囲内で

もう１度お伝えします。あなたには、すでに答えがあります。

事実を受け止め、考えを改めること。持っている答えを選択できるメンタルコントロールができるように鍛えることが大切です。

FXは手法だけでなくメンタルも重要視されていることが、分かったのではないでしょうか。

相場に対する思考のクセは、なかなか変えられないかもしれませんが、常に自問自答して、改善していきましょう。